マイスター公認高級時計師(CMW)がいる高度な技術のお店
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国際時計通信『水晶腕時計の興亡』
時計の小話
続・時計の小話
121話〜140話

●時計の小話 第81話(スイス時計ブライトリングについて)●

ブライトリング社は、1884年スイスジュウ渓谷・サンティミェにてレオン・ブライトリング氏が創業しました。
現在の年間生産本数は10万個以上にのぼり、その全製品がクロノメーター(メカ式・クォーツとも)という快挙を2000年に成し遂げました。
ブライトリング腕時計は、どの機種を買ってもCOSC公認のクロノメーター精度(日差−4秒〜+6秒が合格)が保証されていることになります (機械式といえども当たり外れのない腕時計と言えます)。

内外価格差が殆どない良心的価格設定で、ユーザーに支持されております。
個人的にはクロノマット系(ムーブは25石28800振動)のケバイ、デザインが好きではありませんが、最近のナビタイマー系の落ち着いたデザインはとても好きです。
こんな事を言ったら熱烈なブライトリングファンから叱られてしまうかな。

1915年に世界最初に腕時計型クロノグラフ「30分タイマー」を開発して以来、航空パイロットには圧倒的な人気があります。
空・計器の時計クロノとして、タグ・ホイヤーと二分する名門です。

クロノグラフに特化したブライトリング社も例に漏れずクォーツクラシュで大打撃を受け、存亡の危機にさらされましたが、1983年メカ式クロノの新作クロノマットによって見事に息を吹き返しました。
これは現会長アーネスト・シュナイダー氏の経営手腕によるものでしょうか。

今日では増産体制を整えるためにも複雑時計の専門エボーシュメイカー・ケレック社(1896年創業ムーンフェイズ・ミニッツリピーター・パワーリザーブ等のコンプリケーションを専門に生産、日本輸入総代理店はシチズン商事(株)で、ケレックブランドの腕時計を発売しております)を翼下に取り入れました。
世界中からの注文を賄うために、スイス・グレンヘンに近代的システムを備える新工場も建設しました。

クロノの構造はマスプロ向きのカム式を採用しておりますが、矢継ぎ早にいろんな新機構を開発しています。
特に60分積算計を2個搭載したツインシックスティは素晴らしいものです(6時のインダイアルで、経過時間が何時間何十分と読みとれるし3時のインダイアルでは通常の60分計を併用)。

他には1996年開発のスパシオグラフ、1995年のナビタイマーモンブリラン、エマージェンシー等が有名です。
いろんな意味で目の離せないメーカーの一つです。

主な製品にはナビタイマー00(18KWG110万円)、500m防水を誇るヘッドウインド32万円、チタンケースのクロノ・アドベンチャー29万円、 フライバック機能のナビタイマーヘリテージ42万円、1999年に結成された同社のプライベート・エアロパティックス・チームのオフィシャルのナビタイマーファイターズ 41万円、GMT機能搭載のクロノマットロンジチュート35万円等があります。

どのブライトリングも存在感のある大ぶりのケースの収められた腕時計で、非常に際立って押し出しの強い目立つ品です。
他人との差別化をはかりたい人にはうってつけの腕時計と言えそうです。

●時計の小話 第82話(スイス時計タグ・ホイヤーについて)●

創業は1860年スイス・サンティミエにて精密計時機器メーカーとして興しました。
現在の生産個数は70万個ぐらいでしょうか。
世界中にROLEXと同じように熱烈なファンを持っております。

1920年アントワープ・オリンピック、F1グランプリ・カーレースの計時担当として有名です。
事故死した著名なF1ドライバー、アルトン・セナはタグ・ホイヤーのダイバーズモデルを愛用していたことで有名です。
ヨットレースのニッポンカップもバックアップしており、宣伝活動も活発です。
百分の一ストップウォツチやスポーツウォツチに秀でる物が沢山ありました。

1985年にホイヤー社がTAGグループに参入して商業的に大きく育ちました。
個性的なデザインで人気を博したS/elクロノグラフは若者達の腕によく似合いました。
このシリーズをお持ちの方は読者の方にも沢山おられるものと思います。

最近では機械式に力を入れETA社のムーブメントを搭載したモデルを出しております。
1996年に出した復刻版のホイヤー・カレラはシンプルなデザインで私はとても好きです(K18側25万円)。
クロノグラフのデザインの原型ではないでしょうか。

1969年に発売された世界初の角形防水クロノ・ホイヤーモナコは、スティーブ・マックイーンも映画「栄光のル・マン」で愛用しておりました。
その為にモータースポーツファンには憧れの時計になったものでした。
この時のムーブ・クロノマチック(ブライトリング、ハミルトンの3社共同製作)は、エルプリメロよりも半年ほど早く世に出てセンセーショーナルを起こしました。
1998年に鮮烈に復刻したホイヤーモナコは、角形クロノとしてはNo1のデザインであるとの評判を勝ち得ております(28万円)。

クロノグラフと言えばROLEXデイトナ、ゼニス・エルプロメロ、GPクロノ、タグ・ホイヤー、オメガ・スピードマスターが五指に入るでしょうか。
ここ数年の傾向として、若い世代を中心にクロノグラフ時代と言っても差し支えないほど人気を独占しております。
ゼニスがタグ・ホイヤーと同じLVMHグループに入ったために、エルプリメロを搭載した タグ・ホイヤークロノが世に出てくるのは時間の問題と巷でウワサされております。
そうなったら人気・実力ともNo1の世界最強のクロノの出現があるものと思います。
その時、ROLEXデイトナとの一騎打ちが大変楽しみでもあります。

●時計の小話 第83話(ベトナムからの修理依頼について)●

ベトナム在駐のNさん(ベトナムにアンティーク・ウォッチ・ショッピング・ツアーに行くとき案内をしていただける人です)から、腕時計の修理依頼が今月初めに4個届きました。
4個ともベトナムのアンティーク・ショップで購入された物です。

1、オメガ、シーマスター 
ムーブCal562 ?の名機 24石 若干錆有り K18金側ケース 600$で購入されました。
一見してとても安い買い物と思いました。
日本ではこんな価格では毛頭買えません。
日本のアンティーク・ショップの皆さんもっと価格に関して研究の余地がありますね。
外観はとても奇麗だったのですが分解してみますと、文字板足折れ、ヒゲゼンマイ縦横ブレ、不必要な油が多量に挿されていました。
一応、観光客に売る手前、あちらの腕の悪い時計職人がOHをしているみたいなのです。
購入後2日間しか動かなかったようです。
でもさすが昔のオメガです。
分解掃除及び調速機の調整のみで精度が見事に蘇りました。
まだまだ使える代物です。

2、ロレックス、プレシジョン
手巻き、ムーブCal1215 17石 若干錆有り  たぶんK9金側 1950〜1960年代の物です。
1100$で購入されました。
ケース・文字板の汚れキズ等があり、1のオメガと比較して少し割高と思いましたが、分解してみて値段が高いのがよく理解できました。
ムーブの状態が素晴らしく、OHの結果、テンプが新品のような振り角充分の動きが回復しております。
アンティークのROLEXの修理をするたびに再認識するのですが、やっぱり天下のROLEXだなあーと思わざるを得ません。
どこをとっても素晴らしく、4〜50年程前のものにもかかわらず精度がいともたやすく 出ました。
アンティークROLEXが市場で一番人気があるのも頷けます。
ベトナム人の目利きもたいしたものです。

3、WEST END WATCH CO
自動巻き、デイデイト付き ムーブCalETA2878 17石 ローター等若干錆有り SS側
30年間で初めて聞く珍しい名前のスイス時計メーカーです。
いくらで購入されたかは解りませんが、なかなか面白いデザインの腕時計でした。
調子が落ちており巻真も曲がり、リュウズを引っ張ると抜けてしまう故障でした。
OH・オシドリ直しでほぼ元通りに復元出来ました。
精度もそこそこ合うようです。

4、WEST END WATCH CO
手巻き ムーブCal1? 7石 若干錆有り SS・真鍮クロームメッキ側
一見して面白そうなアンティーク・ウォッチ調でしたが、機械はこれは最悪でした。
テンプに耐震装置が無いために、何度も天真入れ替えをやったために天輪の穴が楕円形になり、滅茶苦茶に壊れていた超難物です。
天輪の縦ブレ・横ブレひどく、 今はいっている天真も寸法がおかしく、天真別作も手探りになる予定です。
これは、お預かり期間特定出来ませんし1ヶ月以上かかるみたいです。
元々余りイイ機械ではありませんので、かなりの時間をかけても直らない可能性があります。

1,2,3,は既に修理完了しましたが4番だけはまだ何とも言えません。
1,2,3,はHPに掲載致しましたのでご覧下さい。

これを見てベトナムに行きたい方はご連絡下さい。
Nさんと一緒に値打ちのアンティーク時計を求めてベトナムの街を歩き回るのも楽しいに違い有りません。
なんたってパイロット役の先輩Nさんがおられるから安心です。

4月9日にベトナムのNさんからメールがあり、懐中時計の簡易式ミニッツリピーター 無名ブランド(500$)を買ったという知らせがありました。
トライアングルの音に近いような感じで、15分単位で一回鳴り、時の音と分の音の2種類だそうです。
ものすごくNさんはその懐中時計の簡易式ミニッツリピーターをいじるのが楽しいらしいです。
それにしても日本円で60000円前後でミニッツリピーターが購入できるなんて、驚異の価格です。
一度そのムーブメントを見てみたいものです。
いかに日本のアンティーク・ウォッチ価格が高いか読者の皆さん解って頂けたでしょうか?

余談
埼玉県の大学生F君から、1967年製の祖父の形見のセイコー5 (Cal5126 23石)の修理依頼を受けましたが、これもとても良い機械で修理の結果、精度が完全に復元しました。
一世を風靡したセイコー5アクタスCal7019よりも上をいく機械と思います。
皆さんの家の中にはまだまだ埋もれている良い機械式腕時計がいっぱいあるのではないでしょうか。
暇なときに一度、家捜しされてみては如何でしょうか。
以外にも貴重な時計が出てくるかもしれませんよ。

●時計の小話 第84話(スイス時計ブレゲについて)●

創業は1775年、フランス・パリにてアブラアン・ルイ・ブレゲによって始まりました。
時計史上に残る大天才アブラアン・ルイ・ブレゲの名を冠した腕時計は、機械式時計ファンにとって永遠の憧れのステイタス・ブランドではないでしょうか。

どれもが個性的で高価な超複雑時計であるために、年間生産本数は8000本前後という少なさです。
長い間沈黙しておりましたが、パリの有名宝石店ショーメと著名時計技術者ダニエル・ロートが結びつくことにより、1970年ジュウ渓谷ラベイの工房にて見事に復活致しました。

ブレゲ腕時計の特徴と言えば、ブルースティールの独特のブレゲ針・ギロッシュ文字盤・ケースサイドのコインエッジ等がつとに有名です。

最近、スウォッチ・グループに入り今後の動向に目が離せない存在です。
一部ムーブメントを複雑専門エボーシュメーカー・フレデリックピゲから供給を受けて おります。
と言うことは、もう一方の老舗の雄ブランパンの奇跡的な復活と似ているかもしれません。

ブレゲ一族は余り知られていないのですが、航空機業界にも大きな足跡を残しており、フランスの航空機メーカー、ダッソーブレゲ社に引き継がれております(1907年、初の有人ヘリコプターの離陸に成功・1909年にはブレゲ型飛行機の製作等)。
ブレゲの発明に関しては時計の小話第37話に詳しく書いておりますのでお読み下さい。

主なブレゲ時計には下記のような代表的な品があります。
・トゥールビヨン・クロノグラフ手巻き腕時計(プラチナケース)1550万円
・トノーカンブレ・クロノグラフ自動巻腕時計(18KYGケース・Cal550)330万円
・タイプXXトランスアトランティック・スティール自動巻腕時計(フライバック機能付き)85万円
・ミニッツリピーター(中世に於いては電気照明が無かった為に、暗闇の中で音で時刻を知ることが出来る時計が必要とされた)
・裏スケルトン腕時計2200万円
・イクエーション腕時計(パーペチュアルカレンダーと平均太陽時との均時差を表示する機能)1350万円
・トゥールビヨン・パーペチュアルカレンダー・ミニッツリピーター・レトログレード・ジャンピングアワー250周年記念モデル腕時計云千万円?

7代目エマニュエル・ブレゲは、生誕250周年を記念して大作400ページの「ブレゲ」を刊行しました。
彼の優しい眼差しは、初代ブレゲの面影にそっくりなので吃驚してしまいます。
やはり紛れもない血筋なのですね。

時計の小話 第85話(ロレックスの修理について)

先月、私の恩師K先生(前日本時計師会幹事・CMW)のお店を訪ねて技術指導を受けながら、いろいろとお話をしてきました。
その中で非常に気になることがありましたので、ここにお知らせしたいと思います。

昨年までロレックスを自前で完全修理の出来ない時計店(ほとんどの時計店はそうですが)は、預かったロレックスをROLEXサービスセンターに修理依頼をしておりました。
ROLEXサービスセンターに出しますと1割の受付手数料金をもらえました。
例を挙げますと、お客様渡しOH代金40000円としますと、時計店には9割の36000円でROLEXサービスセンターから仕上がってきたわけです(時計店は4000円のリベートが入った訳です)。

それが昨年末よりその制度が撤廃され、時計店の1割のマージンでさえも無くなってしまったのです。
ロレックスの修理を預かっても、うま味が全くなくなってしまった時計店は、安く請け負う市中の仲間修理屋にロレックス修理を依頼するようになったのです。

一部の仲間修理屋の中には、超音波時計洗浄機も歩度測定器もないというお粗末さで、いい加減な手抜き作業をしているということなのらしいのです。
全て分解しないで脱進機のみを洗浄して仕上げているらしいのです。
その事を聞いてビックリしました。
修理料金の安さにつられてそういう雑な仕事をする仲間修理屋に修理依頼する時計店も時計店なら、ユーザーの方も修理料金の安さばかりに目を捕らわれて、自分の大事にしている ロレックスの機械を滅茶苦茶にされてしまう可能性がある店には、よくよく吟味して絶対出すべきではないのです。

今までROLEXサービスセンターに出していた時計屋が、利益の出る仲間修理屋に修理を出すようになってしまったために、ROLEXサービスセンターに来る修理がめっきり少なくなり、今では1ヶ月待ちで仕上がると言うことらしいのです。
それまでROLEXサービスセンターでは大変混んでいて、3〜4ヶ月の修理預かり期間だったのです。

このことを考えてみますと、少しROLEXサービスセンターの判断は軽率で横着だったような気がします。
やはり少しの手数料を、修理を受け付ける窓口の時計店に支払うべきだったのです。
のちのちこの修理代金システム(受付窓口の時計店マージン0円)は大きな問題になる可能性があります。

インターネットでいろんな時計店を検索してみますと、ROLEXオートマのOHを15000円〜20000円でする店に遭遇しますが、ユーザーの方は修理値段ばかりに捕らわれることなく、充分いろんな点を比較考慮すべきではないでしょうか。
安いにこしたことはないのですが、中身の修理作業が手抜きすることなく完璧になされている店かどうか、その店の姿勢を判断すべきだと思います。
孫の代まで60年以上の使用に耐えられるROLEXの修理は、しっかりした店かROLEXサービスセンターでして欲しいものです。

●時計の小話 第86話(時計技術通信講座の受講生の方について)●

3月21日に東京のSさん、4月18日に浜松市のMさん、千葉県市川市のIさん、大阪のYさんが、第1回時計技術通信講座を受けるために遠路はるばる石川県の当店にご来店下さいました。

最初に19セイコー懐中時計Cal、9119A 15石(国鉄昭和40年代の車掌区・機関区・保線区の標準時計)の分解・天真入れ替え・洗浄・組立・注油をそれぞれしていただきました。
脱進機・調速機の調整は難しいので、今回は見送りました(話が変わりますが私の兄はとても器用な人だったため、大学時代19セイコーの分解掃除を父に教わり、修理のアルバイトをしておりました。滋賀県・長浜のイソザキ時計店は、当時国鉄の指定店だったので、東海道本線北陸本線分岐点の米原駅の国鉄職員さんが持っておられた19セイコーの修理が、毎月何十個と一杯きておりました。7石のタイプで、ほとんどが天真入れ替え・ゼンマイ切れ・ホゾかしめの修理)。

4人の方とも無事にテンプ・ガンギ・アンクル等の心棒を折ることなく作業をこなされました。

市川のIさんはそれから手巻き腕時計ノンCal 17石の分解・洗浄・組立・注油をされ、浜松のMさん大阪のYさんがセイコー自動巻腕時計Cal、6106C 25石の分解・洗浄・組立・注油をされました。
4人の方とも無事作業を終え、ムーブは後日見てもしっかり動いておりました。

初めて懐中・腕時計の機械をいじられたにもかかわらず、難なく作業が進んで行ったので、私は 4人の手先の器用さに吃驚いたしました。
1日中作業をして、ピンセットで細かい部品を飛ばされた方が一人もいないことにただただ驚愕しました。
余程、小さいときから時計が好きで、細かいプラモデル・トランジスタラジオ・置き時計の組立等をしてこられたものと推察いたしました。
そうでなければあんなにうまくいくはずがありませんもの。
僅か1日でここまで進むとは想像だにしませんでした。
あと3回の時計技術講座でどこまで腕を上げられるかとても楽しみです。

次回からは肝心要のヒゲゼンマイ調整・アンクル爪の注油等の作業に進めたいと思っておりますが、果たしてこれまでのように順調に運ぶかどうか期待と不安が交錯いたします。
昔から好きこそ物の上手なれと言いますが、それを地で行くような4人の方でした。
時計に対して並々ならぬ情熱と熱意が感じ取られました。
時計技術通信講座を受けられた動機をお聞きすると、自分の持っている腕時計を自分の手で直してみたいと言うことでした。

余談
19セイコー懐中時計ファンの方でアンティーク・ショップで買われる予定の人は、S40年代製造の15石のCal9119Aのムーブが入った時計を 買われるとイイでしょう。
7石の19セイコーは、2〜3番車のホゾ穴がへっているのが多く見られますので避けた方が賢明です。
できたら7石のタイプは買わない方がイイでしょう。

●時計の小話 第87話(滋賀県の近江時計眼鏡宝飾専門学校について)●

私が20代初頭の若かった頃、2級時計修理技能士試験を受験し、2位で合格し協会長賞を受けましたが、その時に大変お世話になった先生が近江時計学校におられました。

その先生は行方二郎(勿論CMW)というお名前で、滋賀県の大津市でタマヤ時計店という屋号の店を経営されておられました(店にもお弟子さんが常時3〜4人ぐらいおられました)。
常勤講師で店の経営の傍ら、近江時計学校の生徒さんに時計技術を熱心に教えておられました。
2級受験のために3〜4回学校にて講義を受けましたが、厳格な反面、大変情熱のある先生で生徒さんにもとても人気のあるお方でした。
威風堂々とした体躯の持ち主で、行方先生の前に立つと誰もが萎縮してしまうような圧倒さを受けました。

授業内容も手抜きのない一生懸命な教え方で、いつも感銘を受けて帰路したものでした。
先生の教え方が上手な為に、生徒さんも僅かな期間にグングン能力を伸ばし、2年の在籍で2級時計修理技能士試験を合格した生徒さんが毎年、半数近くにのぼりました。
その中で成績優秀な生徒さんが技能オリンピック予選に出て、セイコー舎の優秀な若手技術者と対等に争いました。
毎年2〜3名のトップクラスの生徒さんが行方先生の推薦を受け、CMW試験を受けられるほどまで成長されたのも、行方先生の手腕のお陰といわざるを得ません(残念ながらほとんどの生徒さんは不合格でしたが、その後何回も挑戦し見事CMWを獲得された卒業者の方は何人かはおられました)。

東京にもヒコみずの時計学校がありますが、私見ですが過去の実績・歴史等を比較すれば、近江時計学校の方が充実しているのではないでしょうか。
これから時計技術を専門に学びたい方は、近江時計学校のことを頭の中に入れておく必要があると思います。

今年3月中旬に近江時計学校のI氏から電話があり、1週間に2回の非常勤講師として学校で生徒さんに時計技術を教えていただけないかという有り難い招聘のお話がありました。
しかし、店の経営・外商・修理といろいろあり時間の余裕もないために、鄭重にお断りいたしました。
もう少し年を取り器も大きくなり、人間的にも丸みが出てきましたらお受けしたいと思っております。

僭越ながら、私も将来的には直属の愛弟子を2〜3人持ちたいと熱望しております。
私の恩師、K先生も4人のCMW技師を育てられました。
K先生も行方二郎先生も私にとっては大恩人ですが、お二人の先生はとてもよく似ておられます。
仕事に対してはとても厳しい姿勢ですが、眼の奥には温かい愛情が溢れているのです。
人間的にも大変尊敬でき、このような人に邂逅できたできた自分の運の強さに感謝したいと つくづく思います。
人生にとって大変重要なことの一つに、師と呼べる人に巡り会えるかどうかがあると思います。
私の人生の中で、お二人に出会えたことを一生の宝として大切に胸にしまっておこうと思っております。

●時計の小話 第88話(2001年バーゼル・フェアについて)●

今年3月末にあった、恒例のバーゼル・フェアの情報を集めてみますと、スイスの一部の有名時計メーカーは、トゥールビヨン・永久カレンダー・ミニッツリピーター等の複雑時計を競って開発し、いろんな意味で話題を独占的に集めました。
あたかもコンプリケーションでなければ時計として魅力が全くないような雰囲気だったそうです。
リズム時計のS氏のお話によると、セイコー・シチズンのブースは目立たない隅の方に追いやられて寂しかったそうです。

確かにトゥールビヨンの天府の動きは面白くて魅了されますが、はたしてどれくらいの人が購入出来るのでしょうか。
云百万円から数千万円もする腕時計を、気に入ったからといってポンと衝動買い出来る人が日本中でイヤ世界中でどれほどおられるでしょうか。

その点ROLEX社の新製品は、日本人でもちょっと無理すれば買える品揃えがしてあった そうです(ま、それでも高額ですが)。
ROLEX社が大変な世界トップクラスの技術力がありながら、今まで複雑時計を敢えて作って売り出さないのは、あくまでも実用本位のものに技術資源力を集中したいが為かもしれません。
一部の裕福なマニアだけを対象とした時計は作らないという企業姿勢に、一般庶民の私は共鳴を覚えます(はっきり言って新品で25万円前後で買えるエアー・キングのメカ・ムーブメントは、この価格帯のスイス時計の中では群を抜いて素晴らしく良く、他に大きく差を付けていると思います)。

セイコー舎は、数年前トゥールビヨンの試作品を完成させましたが、結局発売に至らなかったのは何故なのでしょうか(その替わりにメカ式のフライトマスター・クロノグラフ 35万円を開発し、発売に漕ぎ着けましたが)。
市場調査の結果、かんばしくないデーターが出たのでしょうか(日本のユーザーの人々にトゥールビヨンに対して強い関心が存在しなかったのでしょうか? それとも余り知られていないからなのでしょうか)。
私は是非とも価格が50万円を切るトゥールビヨン腕時計をセイコー舎に作ってもらいたいのです。
あの機構は確かに複雑ですが、セイコー舎にとって手に負えないモノではないはずです。
セイコー舎の蓄積された技術力・生産力からして不可能ではないはずなのです。

50万円を切るトゥールビヨン・セイコー腕時計が世に出てきたら、それこそ世界中の時計ファンのセンセーションを巻き起こすに違い有りません。
未曾有の不景気の日本の時計業界にとって、効果抜群のカンフル剤になるのに違いないのです。
日産が12年前、高級自動車シーマを新発売したときのシーマ現象のようになるような気が します(一方、スイス時計業界は絶好調です。30年間で日本とスイスでは全く立場が逆転してしまいました。もう完全にメカ式腕時計が復権したと断言してもイイと思います。クォーツは数では圧倒的に多いですが、金額ペースでは追い抜かれているのではないで しょうか)。
私もトゥールビヨン・セイコー腕時計が出てきたら、飛びついて1個買うに相違ありません。
頑張って下さいセイコー技術陣の皆さん。
30年前の天文台コンクールでスイス時計に圧勝したときのように、進取の精神を取り戻して欲しいと思います。

今年のバーゼル・フェアで私にとって大きく関心があったのは下記の時計です。
・バセロン・コンスタンチン マルタグラン・クラシック 110万円(手巻き・自社ムーブ・K18ケース)
・ロンジンの薄型自動巻ムーブを搭載した品番990 65万円(1977年以来の復活・高精度の出る高振動ムーブのリバイバル)
・タグ・ホイヤーモンツァ(ゼニスのエルプリメロ搭載) 価格未定(おそらく予想ですが25〜30万円位でしょうか)
・グランドセイコー(セイコー舎創業120周年記念限定モデル・K18側 手巻き) 88万円
・シチズン カンパノラ コスモサイン(452個の恒星、119個の星雲を文字板に表示・夢があるクォーツです)18万円
・シチズン カンパノラ パーペチュアル カレンダー(過去未来100年間のカレンダー表示機構搭載、メカ式にしたら云千万円するでしょう) 20万円  

以上です(上記の品はまだ市販されていません。発売時期は今秋でしょうか)。
余りにも高額な手の届かない時計には関心は沸きませんでした(だって、欲しいと思ったところで所詮、無駄な足掻きになるのですから)。

●時計の小話 第89話(時計オークションについて)●

先月、関西の一流会社のビジネスマンから、オークションで購入した無名のトゥールビヨン腕時計(SS側)の修理依頼を受けました。
40万円というトゥールビヨン腕時計ではかなり安い品なので飛びついて買ってしまったが、1ヶ月で止まってしまったと言うことでした。
SS側のトゥールビヨン腕時計ということで少し懸念がありましたが好奇心もあり、一度送ってもらいました(トゥールビヨンの修理の機会はそうあるものでもないので、贋作品でも直る物なら直してみようと思いました)。

お預かりして中を見てみましたが、一応トゥールビヨン機構にはなっていましたが、機械自体はひどいモノでした。
安価なムーブを改造した海賊版で、ガンギ・アンクル等がひどく錆びており、ヒゲゼンマイも何らの調整もしてありませんでした。
テンプの重力誤差の補正、以前の問題でヒゲ棒アガキもテンプの振り角によって異なり、滅茶苦茶でした。
文字板もネジ止めではなく背着剤で止めてあり、地板もカシメて分解できないようになっていました。
デザインはブレゲ・トゥールビヨンに似ていました(海賊版とは言え40万円とは大金ですね。ムーブを見ないで大金を出すのはやっぱり危険です)。

おそらく香港か東南アジアの手先の器用な悪意な時計職人が、善良な市民を騙すために作ったものと想像しております。
今では香港製の本当に精巧な偽物が沢山出回っており、注意が必要です。
時計の小話で何回となく書いてきましたが、高額なアンティーク腕時計やオークションで高額品を競りおとす場合は、目利きのできる人に中の機械を見てもらい、納得してから購入されることをお薦めします(あとあと後悔しないためにも)。
世の中は善良な人々が大多数ですが、中には詐欺師ペテン師がいっぱい落とし穴を作って待ちかまえていることを肝に銘ずべきかと思いました。

●時計の小話 第90話(鉄道腕時計について)●

国鉄時計と言えば19セイコー懐中時計が思い浮かべるほど有名ですが、広島市の読者の方から30年前の国鉄職員専用の腕時計 (シチズン・ホーマー21石セコンドセッティング機能付き)の修理依頼が舞い込みました。
今ではすっかり忘れておりましたが、シチズン・ホーマーも国鉄に採用されておりました。

このムーブは安価の割にはとても精度が出る機械で、1級時計技能士試験の教材にもなった時計でした。
前回の修理の時に裏蓋パッキングが入っていなかったためにかなり錆びておりましたが、OH・及び調整でかなりの精度が復活しました。
国鉄に正式採用されたほどのことはあると今更ながら感心いたしました。

機械時計は持っている人の愛情一つでいくらでも寿命が延びる物であると思います (水・衝撃・磁気に注意すれば)。
定期的に3〜4年に一度、しっかりした技術者に分解掃除をしていたら、60年間は完璧に正常に動くものと思います。

シチズンも素晴らしいメカ式腕時計を製造できる技術を持ち合わせていたのですから、セイコーのメカ式GSのようにグロリアス・シチズンの復活を渇望します。
やっぱり本当の時計の味・良さを解る人は、メカ式の腕時計を買われるのではないでしょうか。
若者を中心にあれほど騒がれたカシオGショックも、今では陰りを見せ時計部門売上高も16%減になったということらしいです。
デジタルはいろんな面白い機能が付いて楽しいですが、私はいまだかって1個も所有したことが ありません(逆に言えば年食って頭がついていかないのかもしれませんが)。
この時計はHPに載せてありますので関心のある方は一度見て下さい。

●時計の小話 第91話(日本時計師会について)●

大阪市に本部があった日本時計師会についてお話しいたします。

CMW合格者が集まって作った時計技術者団体・日本時計師会は、大阪を中心にして大きく発展いたしました。
時計技術に関してはハッキリ言って西高東低でした。
時計メーカーも一目置く存在でした。
支部は北海道から沖縄まで日本各地19都道府県にありました。
最初は米国時計学会日本支部と言い、それが発展し日本調時師協会となり、S43年に日本時計師会に改名されました。

最高顧問には大阪大学名誉教授・篠田軍治先生(井上靖原作の小説の題材になったりした高名な先生・CMW試験学科一位には篠田賞)、名誉会員には山口隆二先生(一橋大学名誉教授)、井上信夫先生(日本最高の時計修理技術者・CMW試験トップ合格者には井上賞)、会長には飯田茂先生(飯田時計精機社長)、副会長には末和海先生・小林敏夫先生(大阪府立生野工業高校校長)、理事に岩崎吉博・飯田弘・北山次郎・小野茂・下土居隆三・岡本清治・上野益男各諸先生、幹事には加藤日出男先生・多田稔・小原精三・杉田昌幸各諸先生、監事には嶋繁樹・宮脇俊一先生、支部長には石川力・関周三・今井広義各諸先生等々、と言う、当時の日本を代表するそうそうたる技術者が集っておられました(まだまだ現役で今でも仕事をしておられます先生は一杯おられます)。

機関誌「グノモン」「調時」を発刊して日本の時計技術のレベルアップに多大な貢献を果たしました。
主な活動の目的は、日本各地に出向いて時計技術の研究会・講習会・メーカー見学会等の実施、CMW公認高級時計師試験の実施、日本の時計店の技術のかさ上げのための地道な諸活動、時計技術業界に功績があった人への顕彰などが主な活動でした。

CMWを受験するためには、日本時計師会支部長と、もう一名のCMW取得者から技量を認められて推薦を受けなければ、受験さえ出来ませんでした。
非常に権威のある超難関の試験でした。
4月に大阪市内で行われたCMW合格認証式には、そういった著名な諸先生が日本各地から来賓としてこられ、大変緊張したものでした。

一方、東京には石川力・関周三先生を中心にして関東時計研究会があり、毎月一回講師を呼んで勉強会を開いておられました。

村木時計(現(株)ムラキ)が菅波錦平先生(米国時計学会ヘイガンス賞受賞)・江波一郎・石塚要先生を中心に時計通信教育及び月刊誌「時計技術」を発行しておりました。

時計学校は大阪府立生野工業高校時計計器科、滋賀県に近江時計学校(現在も存続中)、名古屋に春芳時計学校がありました。

●時計の小話 第92話(スイス時計・モバードについて)●

モバードと言えば懐かしがる中高年の方も沢山おられると思います。
創業は1881年と意外に古く、ラショードフォンで興しました。

当時は完全なマニュファクチュールで高精度のメカ時計を生産しておりました。
ニューシャテル天文台コンクールにも参加しており、いつも上位の成績を残しておりました。
特に1956年、57年、58年は、3年連続トップの好成績を記録しておりました。
そのことから解るように、非常に良い機械の時計を作れるスイス時計メーカーの一つであることには違いないのです。

30年ほど前にこの業界に入った頃、モバードは、ナルダン・IWC・ロンジン・オメガ・ユニバーサル・ブローバと共に日本ではかなり人気があり、実力も兼ね備えておりました。
特にモバードの自動巻クロノグラフ「デイトロン」は、ゼニスと共同開発したエルプリメロを搭載しておりました(ゼニスばかり有名になりましたがモバードもこのクロノの開発に参画していたのです)。
勿論、薄型(6,5mm)の36000振動で、ブライトリング・ホイヤー・ハミルトンの3社の共同開発したクロノマチック(18000振動)の機械よりも数段上で、精度もかなり正確なものでした。
アンティーク市場でモバードのクロノグラフが人気があるのもうなずけるものです。

メンズの自動巻腕時計「キングマチック」、レディスの自動巻腕時計「クィーンマチック」も素晴らしいメカニカルな腕時計で、私の脳裏にハッキリ刻みつけて記憶しております。

モバードの潜水用腕時計「スーパー・サブ・シー」も優れ物で、今でも通用する見事なデザインでした。

このように高度の技術力を持っていたモバードが最近クォーツ腕時計ばかり作っていることに、モバード・ファンの方には不満があるのではないでしょうか。
昔からデザインには定評があり、現行のモデルの時計を見ても痺れるものを感じます。
1日もはやくETA社製ではなく自前のメカ式機械を開発して売り出して欲しいものです。
それが出来る時計メーカーだと私は思います。

現在の日本総輸入代理店は大阪の栄光時計です。
栄光時計と言えばかって関西一の大規模なセイコーの卸商でした。
余談ですが先代の栄光社長は、世界のセイコーに育て上げた服部時計店社長・服部正次氏に可愛がられ、押しも押されぬ業界有数の卸商に発展いたしました。
人との巡り会いによって人生は大きく変貌するものと痛感致します。
人生の達人はきっと佳き人との邂逅を素晴らしい巡り会いに変えていくことが出来る人だと私は思います。

●時計の小話 第93話(シチズン・クロノマスターについて)●

グランド・セイコーに対抗してグロリアス・シチズンがあったように、キング・セイコーに対してシチズン・クロノマスターがありました。
キングセイコーに優秀級クロノメーターと普通級クロノメーターがあったように、シチズン・ クロノマスターにも2通りのクロノメーターがありました。
今から31年前に売り出されました。

シチズン・クロノマスタースペシャル(優秀級クロノメーター)は自動巻・デイデイト付き・防水・秒針停止装置付き・35石で、当時の価格で39000円でした。
シチズン・クロノマスター(普通級クロノメーター)は自動巻・デイデイト付き・防水・秒針停止装置付き・33石で、当時の価格で29000円でした。
手巻きのタイプもありました。
これらの時計には日本クロノメーター検定協会の合格書とメダルが添付されておりました。

アンティーク市場ではグランド・セイコー、キング・セイコーばかり取りざたされますが、シチズン・クロノマスターもそれらに負けない素晴らしい精度が出るメカ式時計でした。
しまい込んだ箪笥の奥に父親の形見としてあるかもしれません。
もしあれば、セイコーGS・KSよりも生産個数が極めて少ないために高額なプレミアムがつくかもしれません。
一度家捜ししてみてはどうでしょうか?

時計の小話 第94話(オメガの廉価版の名機Cal.601について)

オメガにはトップにコンステレーション・デビル・シーマスター・スピードマスター等のシリーズがありました(今でもそうですが)。
最下位価格帯に、入進学・就職祝い向けに「ジュネーブ」シリーズがありました(これは今ではうち切られています)。

「ジュネーブ」シリーズに搭載されたCal、601は、手巻きカレンダー付きの名機だったと私は思います(自動巻Cal、550は1959年に開発され、Cal、601のベースになりました)。
1964年に開発され、日本円にして3〜4万円ほどで当時売られました。
廉価版といえどもセイコーK・Sよりも価格は高かった記憶があります。

時計屋の息子だった私が初めて父親から貰った時計は、高校入学時にセイコーマチック腕時計(当時で6000円位・それでもイイ方)でしたが、友達の医者の息子がオメガ・ジュネーブ をはめているのを見ると、情けない話ですが嫉妬を覚えたものです。

ムーブの厚さは3,85mmと薄く、19800振動のロービートで17石を内蔵しておりました。
地板等は全てキレイに金メッキが施され、美しい輝きを放っておりました。
簡単に高精度が出る美しい完璧な機械でした(今ではこんな素晴らしい機械の入った新品の腕時計を買おうと思ったら、二十万円出さないと買えないと思います)。

当時のオメガ社はいろんな人々向けに多種多様の機械(キャリバー)を続々と生産しておりました。
1926年から1970年の44年間に、160種類以上の機械を開発し発売に漕ぎ着けました(婦人用キャリバーにも幾多の名機があります。婦人用キャリバーの豊富さもおそらく世界一だと思います)。
現在では1機種開発するのに2〜3年(金額にして数億円)かかりますが、当時のオメガ社は1年間に平均4機種を毎年新開発していた計算になり、その計り知れない底力に驚愕するばかりです。
これは他のスイスメーカーにとても真似の出来ない、追随を許さないオメガ社の独壇場でした。

まさしく、当時のオメガ社は生産量・高精度腕時計生産力・新製品開発力・人気・知名度・ステイタス性などで紛れもなくダントツで、総合力・世界一だったに違い有りません。
ロレックスでさえもオメガ社にはとても対抗できずに、一目も二目も置いていたでしょう。
当時のオメガ社は本当に凄かったのです(失礼ながら日本のトップメーカー精工舎などは、お側にも寄れない大きな存在でした。30年前には歴史に残る世界最強の時計メーカーだったでしょう)。

そんな強大な無敵のオメガ社が、東洋・日本のセイコー・クォーツに屋台骨をグラグラにされて しまうとは誰が想像できえたでしょうか?

ところでアンティーク市場でオメガの腕時計が余りに安いのにはビックリしています。
数が多いから希少価値がないためでしょうが、もう少し高い評価を受けてもイイのではないで しょうか(30年ほど前のどのオメガも素晴らしいメカ式機械が内蔵しているのに不当に低い評価だと 思います)。
アンティークの入門品として、私は一番のお薦め品がオメガ腕時計です。
アンティークとしては当たり外れのない本当にイイ機械のメカ式が入っているのがオメガ時計です。

●時計の小話 第95話(時計旋盤の名人・大川勇先生について)●

東北の岩手地方に在住しておられました時計旋盤の名人・大川勇先生のことを書きたいと思います(菅波錦平先生も東北のいわき市に住んでおられました)。

私がこの業界に入った頃にはすでにご高齢でおられました。
面識は一度もなかったのですが、先生のお書きになった2冊の本は、生涯私には大変役に立ちました。
その本の名は「通俗時計学」いわき時計技術研究室発行・「時計旋盤工作」(株)村木時計発行でした。
どちらの本ももう絶版ですが、とても素晴らしい内容の深い本でした(これからの若い技術者の皆さんには何とか入手して是非読んで貰いたい本です)。
井上信夫先生も絶賛して、購読を勧められておられました。

大川先生が何十年にも渡り苦労して会得した技術を惜しげもなくさらけだして、未熟な技術者の指針になるように書かれておられました。
一般的には、苦労して修得した時計技術を他人に教えることに抵抗を覚える人が多い閉鎖的な時計業界でしたが、大川勇先生は率先して自分の技術を披瀝されておられました。
先生のその行動パターンは模範となるような立派なものでした。

わたしの技術向上にも非常に役に立ちました。
時計旋盤技術のことがサッパリ解らなかった私は、若いとき恩師のK先生から教えを乞うために3〜4回大阪に出向きました。
全くの初歩から親切丁寧にK先生は手取足取り、お教え下さいました。
1本のスチィール棒から天真・巻真が出来た喜びは大変なものでした。
K先生から教わった基本的な旋盤技術と大川勇先生の本は、私にとってそれ以降とても役に立ちました。

30年ほど前には日本では松田光製(アロー旋盤2種類)・ゼム製時計旋盤(アバンテ号)の3種類がありましたが、今では生産をどちらもストップしております。
現在ではスイスベルジョン製・アメリカボーレー社製等、何十万円も出さなければ買えない高級時計工具になってしまったのは至極残念です。
機械時計の修理が増えてきた今、再度若い技術者のために低価格の時計旋盤を日本で生産再開して欲しいと願っております。
時計旋盤技術は時計修理の根本であり基本なのです。
時計旋盤を自由に駆使できてこそ一人前の時計修理技術者なのですから。

●時計の小話 第96話(目覚まし機能付きセイコー・ベルマチックについて)●

兵庫県小野市の読者の方より、1968年製のセイコー・ベルマチック27石 Cal、4005Aの修理依頼を受けました(アラームベルが機械仕掛けで15秒間鳴り続けます)。
非常に長い間、止まっていて使っていない代物で、整理箱にしまっていたのを取り出して送られてきました。

この時計は国産では初めて、諏訪精工舎が1967年売り出したセイコービジネスベル(5振動、精度等級C 日差−15秒〜+25秒)の姉妹品です。
もう25年以上見ていない時計で懐かしさを覚えました。
行方のしれなかった友人に偶然に街角で会ったような喜びに似たものを感じました。

分解してみましたが、二十数年間動かしていないだけあって、全体にかなりの錆が廻っておりました。
文字板止め足も片方が折れておりました。

錆びた部品をキレイに落とし、ハケ下洗い・超音波洗浄・注油・組立・調整後、見事に蘇りました(錆びておりますと作業時間は倍以上かかり手間も大変です)。
緩急針調整で、日差プラス15秒前後にまで精度が蘇りました。

ムーブはとても堅牢に作られてあり、定期的にOHすればまだまだ数十年使える時計です。
セイコーの時計を修理するたびにいつも感心するのは、設計度の高さです。
最近のスイス高級時計・I社のよく故障した腕時計の修理が沢山舞い込みますが、I社のものと比較してセイコーのムーブの方がかなり安いにもかかわらず、精密でありながら堅牢性が高く、壊れにくい設計がなされております。
30〜40年ほど前のセイコーの技術力は大したものであったとつくづく痛感し、日本人として誇りに感じます。
マスプロ・マスセルのために非常に良い機械であったにもかかわらず、セイコー腕時計の価格は良心的であったのでしょう(この時計はHPに載せてありますので関心のある方は見て下さい)。

時を前後して、奈良県の読者の方よりジャーガー・ルクルトのアラーム付きの腕時計(Cal,No735417−601)の修理依頼が舞い込みました。
今から4〜50年ほど前の時計で中の機械を見てみましたがかなりくたびれており、骨董品の部類にはいる物ですが、ご期待に添えるか解りませんが修理のチャレンジをする予定です。
機械時計は愛情を持ってご使用になられると、その所有者の一生涯の腕の伴侶になるもので、大切に使用したいものと思います

※スイス高級時計の操作上の注意事項※
R社・I社・Z社等の瞬間早送り機構が付いたカレンダー腕時計の操作上の注意として、時計が8時〜4時を差しているときはカレンダー早送りは絶対しないで下さい。
時計の針の時刻が昼の間はかまわないのですが、うっかりして間違えますので8時〜4時を差しているときはリューズをいじらないと決めた方がイイでしょう(故障の原因として1番多いのが誤操作です)。
原則として分針の逆回しはしない方が賢明です。
5分から10分位ならかまいませんが。
クロノグラフをお持ちの方はよくよく使用書を読む習慣を身につけましょう。

●時計の小話 第97話(第3回時計通信講座のついて) ●

6月20日に第3回時計通信講座の受講のために、千葉県のIさん、東京のSさん、静岡県のMさんの3人がご来店されました(大阪のYさんは都合により欠席でした)。

MさんにはセイコーロードマッチクCal、5606A 25石 (セイコーの中で1番好きなムーブメントです。部品数が極めて少ないにもかかわらず、デイデイト自動巻です。故障しにくく簡潔で高精度がいとも簡単に出る素晴らしいメカです)を、IさんとSさんにはセイコーマチックCal、6218C35石のOHを1日かかりでやってもらいました。

今回は前回よりも難しかった作業が多い為か、テンプの受け石・穴石の注油の時に、受け石を ピンセットで掴むのを失敗し、飛ばして紛失したり、ダイヤショックテンションバネを飛ばしたりでいろいろと作業がはかどらず大変でしたが、帰る頃までには何とか3人さんとも完成させられました(翌日みてもしっかり動いておりました)。

ハイスピードで教えているのに、一生懸命ついてこられる受講生の皆さんの態度に、時計技術を身に付けたいという熱意がヒシヒシと感じられました。

次回は調速機のヒゲゼンマイの調整を教えようと思いますが、山場ですので受講生の方は大変な事になると思ったりしております。
ヒコ・ミズノ時計学校の中退者・卒業者の方からよくメールが届きますが、ある程度の基礎が解れば自己研鑽以外に腕をあげる方法はありません。
焦らず・挫けず・一歩一歩確実にテクニックを上げていって欲しいものです。


● 時計の小話 第2回問題集 ●

時計の小話通算97話を読んでいただければヒントがあります。

第1問 ロレックス旧デイトナにはゼニス・エルプリメロの機械がそっくりそのまま入っていた(正誤)

第2問 新品の超音波時計洗浄機は現在20万円以内で購入できる(正誤)

第3問 世界のセイコーに大きく育て上げた服部正次氏は4代目の社長だった(正誤)

第4問 ゼニスはこの度スウォッチグループに参入した(正誤)

第5問 日本ではクロノメーターを検査する公式機関は現在のところ存在しない(正誤)

第6問 天真のホゾの太さは髪の毛よりもほとんどが太い(正誤)

第7問 スイス時計の中で多くのクロノメーターを生産してきたのはオメガ・ロレックスである(正誤)

第8問 ゼニス・エルプリメロは28800振動のハイビートである(正誤)

第9問 腕時計の電池にはデジタル用とアナログ用がある(正誤)

第10問 ジャガー・ルクルトは他社にムーブを供給している最高の時計メーカーの一つである(正誤)

第11問 スイスの宝飾腕時計には必ずホールマークが入っている(正誤)

第12問 ブランパンはクォーツ腕時計も多く作っている(正誤)

第13問 オーディマ・ピゲは1775年創業である(正誤)

第14問 人間の心臓部分はアンクルである(正誤)

第15問 CMWの恩人、山口隆二先生は京都大学の先生だった(正誤)

第16問 ロレックス社の製造する時計の中にはETA社の機械が入っている時計がある(正誤)

第17問 キングセイコーの中で最高のCalは45系である(正誤)

第18問 ETA社のムーブを採用している有名時計メーカーの中にIWC・ナルダン・ ホイヤーが含まれる(正誤)

第19問 ブライトリングのクロノグラフはカム式である(正誤)

第20問 近江時計学校の卒業者の中にCMW取得者がいる(正誤)

第21問 婦人用のグランドセイコーは第二精工舎が作った(正誤)

第22問 ピアジェは1774年創業である(正誤)

第23問 ロレックスの自動巻は28800振動が多い(正誤)

第24問 セイコーのロードマッチクのムーブは私は一番好きである(正誤)

第25問 ETA社はマニュファクチュールである(正誤)

以上の25問ですが易しいものもあれば、少し専門的な難しいものもあったかと 思います。
前回よりもかなり易しくしました。


● 時計の小話 第2回問題集25問 解答 ●

第1問 (誤)

第2問 (誤)

第3問 (誤)

第4問 (誤)

第5問 (正)

第6問 (誤)

第7問 (正)

第8問 (誤)

第9問 (正)

第10問 (正)

第11問 (正)

第12問 (誤)

第13問 (誤)

第14問 (誤)

第15問 (誤)

第16問 (正)

第17問 (正)

第18問 (正)

第19問 (正)

第20問 (正)

第21問 (正)

第22問 (誤)

第23問 (正)

第24問 (正)

第25問 (誤)

●時計の小話 第98話(新参入の時計愛好家)●

先月、当店の表看板を見てぶらりとご来店いただいた地元松任市のNさんは、私と意気投合し、時計談義を2時間あまりしていて、他店でオメガ・スピードマスターを買う予定をやめて当店で買っていただきました。
それ以来頻繁に当店にご来店されるようになりました。
時計の小話も全てバックナンバーで読まれ、ますます時計の奥深い魅力にはまってしまったと、嬉しい反面、嘆いて?もおられました。

そうこうしていると、数日過ぎたある日、値札の付いたシチズンの40年ほど前のスーパージェット自動巻腕時計や、シチズンの同じく40年ほど前の新品の手巻きの時計を持ってこられて、この時計は良い時計ですかと訊ねられました。
良い時計ならある人から買うと言うのです。
値札の付いた新古品とは、もういまではとても珍しい時計ですよと言うと、その時計を買ってしまったと言う連絡がありました。

後日また来られ、アンティークのロンジン・ウルトラクロン(30年ほど前の10振動の高精度機械 ロンジンの名機 OHのため修理預かり中)や、角形のロンジン・アドミラルを持ってこられました。

どこで次から次と入手されるのですかと問うと、友人が何十万円も持って日本中のさびれた田舎の時計店巡りをしているとのこと。
めぼしい時計があると現金を見せて値を叩いて、まとめて何十本と買ってくるらしいのです。
趣味で始めたものが今では本業になり、あっちこっちの日本の時計店漁りをしていると いうのです。
聞けば面白い旅から旅への骨董探しの仕事があるものですね(情報の疎い地方の跡取りのいない時計屋の親爺さんは、古いメカ時計が今では高値で取り引きされているのを知らないで安く手放してしまうのですね)。

しばらくするとまた来られ、30年ほど前の値札の付いた新品のキング・セイコーバナック(定価札38000円)を2本持ってこられました。
52系のクロノメーターに準ずる素晴らしいムーブなので、無理を言って1個自分用に分けて貰いました。
新品のエドックスのデイデイトの自動巻腕時計も安かったのでこのNさんから買いました (二人はおかしな関係ですよね)。

世の中、探せば楽しくて面白い仕事があるものですね。
真贋を見極める目、時計の機械の状態がどんなところか解れば、Nさんの友人のように、けっこう小遣い稼ぎになるものなのでしょう。
ふうてんの寅さんのように、小遣いを稼ぎながら気ままに日本中をあっちこっち旅しながら人生をおくれたら、どんなに楽しいでしょうか。
いろんなしがらみやストレスの中で生きなければならない現在の人間には、Nさんの友人の生き方に羨ましくもあり、男のロマンを感じます。

●時計の小話 第99話(ジャガールクルト・メモボックスについて)●

奈良の読者のU氏から、先月ジャガールクルト・メモボックス(アラーム機能付き)の修理依頼が舞い込みました。
生前の父親が大切に愛用していたという思い出の腕時計で、ネット上で知り合った人の紹介で当店に送られてきました。

受け取ったときは、もうまさしく骨董品の部類で、ケース及び裏蓋の咬みあい部分が錆びて朽ちており、ケースが閉まらない状態で直らないのではないかと思いましたが、悪戦苦闘の上、やっと修理完了しました。

分解掃除、天真ホゾ矯正(テンプに耐震装置がない旧タイプ、ホゾが折れたり曲がったりする)、ゼンマイ調整等を修理しましたが、平姿勢では動くのに、実測のために腕につけると数時間で止まるという難物でした。
原因は、テンプ受けのアガキが若干少ないために抵抗が大きく、0,03mmの厚さのナイロンを噛ませることにより、アガキ調節して直しました (現行のロレックスにはテンプアガキ調節する機構が付いております。さすがですね)。

こういう名作品を蘇らせる事は、時計職人として最高の充実感を味わえると共に、職人冥利に尽きる仕事なのです(万が一直らない時はどっと疲れが出るのですが、直ってやれやれです)。

この時計は1956年、世界有数のマニュファクチュールのジャガールクルトが、世界で初めてアラーム付きの腕時計を他社に先駆けて生産した由緒ある時計です。
50年近く過ぎた今でも改良を重ねながら生産続行している、人気のあるシリーズです。
現行品ではSS側で50万円、18金側で105万円の2機種のみ生産されております。
現行品のムーブメントは進化しながらも、ほとんど50年前の物と基本的には一緒なのです(ビックリされたでしょうか?)。
他に、アラーム機能が付いたマスター・レヴェイユ(SSが60万円、K18側が132万円)も2機種売り出しております。

45年も前に、こんな高価でスイス時計の名機を買い求めておられたU氏のお父様とはどのような方だったのでしょうか?
多分とてもお忙しい方で、時間にとても几帳面で厳格な方であっただろうと想像します。

アラーム音(油蝉が鳴く音に似ています)は25秒間鳴り、リンが裏蓋に付いているので、ハンマーの叩く振動でも、決められた時間がハッキリ解ります。
セイコーベルマチックはリンがミニッツリピーターのように棒リン状になっているために、音もやや静かで振動は少ないです。
どちらが良いかは好みの別れるところです。
あまりにも珍しいのでHPに載せてあります。
本当は直に皆さんに見て欲しい時計なのですがそれもできませんね。
ご来店いただいた一部の方にはお見せして感動しておられました。

●時計の小話 第100話(ジャガールクルトについて その2)●

読者の方からもっとJ・L(ジャガールクルト)のことを知りたいというメールが届きましたので、更に述べてみます。

日本では圧倒的にROLEXが人気がありますが、時計技術者としてロレックスと比較しても何ら遜色のない、まさしくそれ以上の素晴らしい機械をたゆまず作ってきたスイス時計メーカーにジャガールクルト社があります。
ジャガールクルト社は世界最高水準の時計技術を200年近くずーと有した並ぶもののいない時計会社の一つです。
ROLEX・JL・AP・PP等の時計の修理をするときは、職人としてもう最高のルンルン気分なのです。
日本でもっともっと沢山売れて欲しいと真から願う腕時計です(人気ばっかり先行して実力が伴わないスイス時計メーカーが沢山ありますが)。

1833年創業以来、取得した特許の総数は数百にものぼります。
1890年には何と125種類におよぶムーブメントを製造し、他社の高級時計メーカーにムーブを供給してまいりました。
著名な宝飾高級時計メーカーもJ・Lから機械を買って時計を作っていたのです。
過言すれば、J・Lが無かったら、ある有名なスイス時計会社も存在しなかったのでは ないでしょうかと言っても過言ではありません。

1903年には、厚さ1,38mmの世界No1の極薄のポケットウォッチを作り、この記録は100年過ぎた今でも未だに破られていません。
開発に至難を極める超薄型時計に社運をかけてきたJ・L社は、2,8mmの厚さのクロノグラフ、2,70mmのミニッツリピーターのムーブを開発製造しております。

1953年には世界初のリューズ無しの自動巻時計フューチャーマチックを作り、1982年には世界最小のムーブメント(9,7×11,7mm厚さ1,8mm)を開発しました(どれほど小さいか皆さん想像をしてみて下さい)。

その他にも枚挙に暇がないほど、革新的な時計ムーブを長年に渡り次から次へと製造しております。
私見ですが、その点ではハッキリ言ってROLEX・IWC・GPよりも数段上の時計メーカーと言えるかもしれません。

最近、読者の方から買って間もないI社の修理依頼がよく舞い込みますが、30年前のI社の時計には想像も出来なかった現象です。
その点、ROLEX・JL社は何十年と変わることなく良心的で、その時その時の最高の機械を作り続けてきた希有な時計メーカーです。

J・Lには特筆すべき点に、独自のマスター・コントロール1000時間という、出荷する前に行う腕時計のテストがあります。
マイスター・ウォッチメーカー技師が、6週間(1000時間)に渡り過酷な検査を全てにし続けるのです。
これは公認クロノメーターなどと比較が出来ないほど、厳しい1000時間に渡る精度・耐久試験です。
これに合格したJ・L腕時計には、ケースバックにシリアルNo入りのゴールド・シールが付けられます。
この時計こそ世界の頂点を極める腕時計であると言って過言はないでしょう。
時計ファンとして1個は必ず所有したい腕時計です。
〒924-0862 石川県白山市(旧松任市)安田町17-1 イソザキ時計宝石店
電話(FAX):076−276−7479  メール:isozaki@40net.jp