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■時計の小話とは?→ ●時計の小話 第1話(ロレックス)●精巧無比なロレックスだからこそ、アフターケアは大事です。5年に1回くらいはオーバーホールして、新しい油を差す必要があるのです。 ロレックスの心臓である『天府』は、1時間に28,800回振動しています。 ですから1日に約69万回、1年で2億5千万回、5年で12億5千万回も振動しているのです。 油が5年くらいで切れるのはわかって頂けると思います。 ロレックスはクロノメーターという高精度の時計です (日差-1秒〜+10秒以内)。 スイスの著名な時計技術者・イエントリッキー氏は「どんな安価な腕時計でも、 確かな技術を習得した時計師なら、クロノメーターの規格に入る時間調整は可能だ」 と言っておられます。 1万円くらいの安価な機械時計でも、技術の確かな時計職人にかかれば、 ロレックスと同等の精度を持つ高級腕時計に変身することが可能なわけです。 CMW試験は定価6500円の懐中時計をクロノメーター精度以上の正確さを求める難易の高い試験です。 ●時計の小話 第2話(スイスのコンクール)●過去、スイスのニューシャテル天文台が主催する、機械時計の精度をメーカー同士 が競うコンクールがありました。当時、いつも上位に連なっているメーカーは日本でも有名なオメガ・ロレックス・ ロンジン・ゼニス等でした。 その頃、世界的には有名でなかった国産メーカーのセイコー舎がコンクールにチャレンジしましたが、何年もの間、惨敗を重ねておりました。 その頃、セイコー舎と仲の良かったロンジン社の技術者が、セイコー舎の有名な技術者の小牧昭二郎氏に天府の振動数を聞かせたところ、 超高振動の音が聞こえたわけです。 そこで小牧氏は、当時発売されていなかった20振動(コマが1秒間に20回転することを想像して下さい)という高振動のムーブメントを開発してコンクールに出展し、その年はあまり芳しい成績は出ませんでしたが、翌年からセイコー舎が トップを独占するようになったのです。 それからスイスの時計精度を宣伝する天文台のコンクールが、日本の時計メーカー を宣伝する場になってしまったため、そのコンクールは中止に追い込まれてしまった のではないか?という噂話を聞きました。 そういう逸話をCMW大会に来賓として来ておられた小牧氏から聞きました。 ●時計の小話 第3話(腕時計の電池交換について)●最近、当店で電池交換をされるお客様の中に「今まで正常に動いていたのに 他店に電池交換を依頼したら止まってしまった」と苦情を言われるお客様が 店に数人来ておられます。そういうお客様の時計を開けてみると、ゴミとかケースのサビが機械の中に入り込んでいたり、駆動コイルが切断されている為に故障の原因になっていたりしています。 おそらく、ケースの裏蓋を開ける時に、最初にワイヤーブラシでサビとゴミを落とし、毛ハケで細かいゴミを取り除かないで蓋を開けているのが原因だと思います。 こじ開け式の裏蓋の場合は更に注意する点があるのです。 こじ開け機で勢いよく蓋を開けようとすると駆動コイルを切ってしまう恐れがあるのです。 簡単な修理のように思われますが、電池交換も細心の注意と技術が必要なのです。 当店では電池交換した後にはパッキングにシーリンググリスを塗布し、リューズ受けには防水用のグリスを塗ります。 それによって、低下した防水機能が回復されるのです。 今では時計技術者が大変少なくなり、店によっては未熟な人が安易に電池交換をする為に、このような苦情や故障が増えつつあります。 電池交換でも確かなお店でされることをお勧めいたします。 当店では国産品に限り電池交換を580円で致しております。 ●時計の小話 第4話(機械の簡単な歴史)●腕時計のおおまかな歴史をお話しします。現在では、水晶発振腕時計(クォーツ)が市場のほとんどを独占しておりますが、 30年前では機械式腕時計が隆盛で、ほとんどがゼンマイで動く時計でした。 ロレックス・オメガ・セイコー・シチズンでも、生産の100%近くが自動巻か手巻きでした。 そこで、運動量の少ない人の為に電池で動く天府式のムーブメントが開発されました。 しばらくしてアメリカのブローバ社が音叉式の高精度の腕時計を発売しました。 当時で10万円ぐらいする高価な時計で、月差1分ほどの、当時としては ビックリするような精度でした。 それからシチズンがブローバ社と技術提携して、国産の音叉時計を発売しました。 しかし音叉時計があまり市場に普及しなかったのは、修理が大変難しく、 手間のかかるものであり、時計屋がその技術についていけなかったからです。 セイコー舎はそれに立ち後れまいとして、数年後に画期的な水晶発振腕時計を市場に出したのです。 当時としては数10万円もする手の届かない高価な腕時計でした (今では数100円で買える水晶発振腕時計があるのがウソのような話です)。 水晶腕時計がこれほどまでに市場に浸透したのは、価格が急激に低下したのと、 機械の構造が簡単になり、修理がとても易しくなったためです。 当初のクォーツは、セイコーもシチズンも大変複雑なムーブメントで、技術を習得したものでなければ修理が難しく、メーカーサイドの講習会を 受講したものにしか修理はできなかったのです。 これほどまでにクォーツが浸透したにもかかわらず、あくまでも機械式腕時計に 固執するロレックス社の頑固な機械屋集団に脱帽します。 ●時計の小話 第5話(ロレックス・デイトナ)●ロレックスファンの人なら、すでにご存じかもしれません。ロレックス・デイトナのムーブメントは、ゼニス社のクロノグラフ・エルプリメロから 供給を受け、十数年来販売されてきました。 プライドの高いであろうロレックス社は、自社製ではなく他社のムーブメントを使ってクロノグラフを発売していたことに対して屈辱的な気持ちを少なからず持っていたに違いないと思います(おそらく、エルプリメロを優るクロノグラフが自社で開発できなかったのではないでしょうか)。 この度、やっと自社製のクロノグラフのムーブメントを開発し、デイトナに使用されることになったのです。 これで、安堵の気持ちが起こったであろうと思います。 ゼニス社のエルプリメロは、36000振動(1秒間に天府が10振動)します。 緩急針付きの平ヒゲゼンマイです。 一方、ロレックスの新開発のクロノグラフは、28800振動(1秒間に天府が8振動) します。 振動数の多い方が安定した精度を維持します。 その点から言うとゼニス社の方が勝っている かもしれませんが、耐久性から言うと8振動のロレックス社の方が少しはいいのかもしれません。 ロレックス社は緩急針のない巻き上げヒゲゼンマイです。 そして天府には今までのロレックスと同じようにミンタイムスクリュー (またはアジャストスクリュー)が付いており、それを回すことによって時間の歩度の微調整をします。 巻き上げヒゲゼンマイのメリットは、同心円状に伸縮するため重力誤差が受けにくく、姿勢差の誤差が極めて少ないのです。 一方、平ヒゲゼンマイは片方にずれて伸縮するため、多少少なからず姿勢差の影響がでます。 腕時計では、平姿勢(文字板上)・リューズ下・リューズ左の3姿勢が極めて重要です。 提げ時計では、平姿勢(文字板上)・リューズ上の2姿勢が極めて重要です。 ロレックス社のクロノかゼニス社のエルプリメロのどちらのムーブが優秀かわかるかは、 何年かの年数が必要なのかもしれません。 万が一、エルプリメロ搭載のロレックス・デイトナの方が良かった場合、今まで以上にプレミアムが付いて高額になるに違いありません。 今でも、SSケースのデイトナが手に入りにくい状態なのに、そうなった時、爆発的な人気が出るでしょう。 ●時計の小話 第6話(国産メーカーについて)●日本には5つの時計メーカーがあります。セイコー・シチズン・オリエント・リコー・カシオです。 ◇セイコー◇ ここ数年、セイコー舎は業績が悪化していますが、時計産業という成熟した業界では当然の結果かもしれません。 十数年前、セイコー舎が他社に先駆けて水晶腕時計を発売した頃は、スイス時計業界が大打撃を受け、名門のオメガ・ゼニス社ですら経営の危機に陥ったのです。 そのセイコー舎が今、少し苦境に立たされているようです。 そのため最近、水晶腕時計一辺倒から脱却し、機械式腕時計を矢継ぎ早に開発し、 発売し出しました。 廉価な水晶腕時計は低開発国の低所得者層の人々にとって買い求めやすく、腕時計の普及に多大に貢献しました。 年間1億個ものムーブメントを生産出来るメーカーはセイコーとシチズンの他には世界にはありません。 この2社が、腕時計を手にするという夢を世界の人々に与えた事は素晴らしいことです。 しかしその反面、価格低下によりセイコーの業績が悪化したのも事実です。 数年来、スイス時計メーカーが機械時計に生き残りの道を模索しだし、個性的な自動巻や手巻きの腕時計を発売しだして、過去の元気さを取り戻しつつあります。 セイコー舎もスイス時計メーカーの復活を見るにあたり、原点に立ち戻って最近新開発の機械式腕時計を発売し出したのでしょう。 その中には大変魅力のある商品がたくさんあり、一時計商人として大変嬉しく思っているのです。 今年の夏からセイコーの歴史的に大ヒットした名作が復活します。 1.国産初の腕時計 ローレル 2.国産初のダイバーズウォッチ 3.機械式時計の雄 キングセイコー 私がこの業界に入った頃、キングセイコーは夢の時計で、早くこのようないい時計を手に入れるようになりたいと思ったものです。 修理依頼を受けオーバーホールした時は胸が大変ときめいたことを覚えています。 4.国産初の鉄道時計 別名19セイコーと言い、CMWの試験材料にもなった時計です。 巻き上げヒゲでミンタイムスクリューを備えた高精度の提げ時計で、価格はとても良心的で安かったです。 復活したこの時計の値段が25万円もすることは少し残念です。 どうも写真から見ると、新開発の提げ時計の機械ではなく、手巻きの腕時計のムーブメントがケースの中に入っているような気がしてなりません。 もし、新開発の提げ時計のムーブメントが入っているのなら、一つ仕入れして店内に陳列しようと思っています。 5.触読式懐中時計 6.世界初のクォーツ腕時計 7.世界初のチタニウム潜水ダイバー があります。 ◇カシオ◇ カシオはGショックを発売し、大ヒットさせました。 マーケティングを徹底的に分析した結果だと思います。 一機種で800億円もの利益を生み出したとは驚きです。 しかし、時計職人としてはGショックのムーブメントがあまり好きではなく、 当店では発売しませんでした。 私は売れる物を売るよりも、売りたい物を消費者に売りたいのです (頑固な時計職人の店で、経営者としては失格かもしれません・・・) 。 Gショックがもう少し定価が安く設定されていたのなら、私の店でも販売していました。 シチズン・オリエント・リコーについては、いづれまたお話しします。 ●時計の小話 第7話(時計職人の育て方、今昔)●過去、名古屋に春芳時計学校(私設)・大阪に生野高等学校時計計器科(公立)がありました。現在では滋賀県に近江時計学校(私設)・東京にヒコみずの時計学校(私設)があります。 どちらの学校も授業料が1年間に100万円前後、と高いです。 それにも関わらず若い人が学校の門をくぐり、時計職人の道を歩もうとしていることに、 私は嬉しく思っています。 私の若い頃は徒弟制度があり、卸商の紹介で高名な職人がいる時計店に入門したのです。 腕のいい時計店主に仕えて朝から晩まで1日を共に暮らし、礼儀作法・言葉遣い・ 商売上のルール等を学びつつ、時計技術を基礎から無料で教わったのです。 掛け時計・置き時計・提げ時計・腕時計・手巻き・自動巻・クロノ・複雑時計等を順次に教わるものでした。 テレビ番組の取材では、どのような職人でも一人前になるには10〜15年という話を よく聞きます。 私はそれは間違っているような気がするのです。 教えを請う人が本気になって一生懸命に学ぼうという姿勢があれば、3年で超一流の時計職人 になれます。 マイスターという言葉の意味は「親方」という意味でもあります。 日本では親方制度が無くなりつつあり、非常に寂しいです。 もしこの制度が復活すれば、金銭的に余裕がなく、能力のある若い人でもこの業界に入って来られるのではないでしょか。 当店でも、将来的に弟子を育てたいという希望を持っております。 準備が整った時には、ホームページで募集する予定です。 ●時計の小話 第8話(時計工具について)●クォーツが普及した現在、ほとんどの時計店では自店で修理をしなくなり、当然、 修理設備を備えた店もかなり減少しております。以前では時計店の3種の神器と言う物があり、それを備えているかいないかで、消費者の店の評価が別れるポイントでした。 1.超音波時計洗浄機(現在の価格では約80万円) 回転しながら超音波を発する器の中で、自動的に洗浄する機械 2.歩度測定器(水晶発振腕時計用テスター:約40万円)(機械時計専用テスター:約20万円) 時計の誤差を測定する機械 3.時計専用小型旋盤機(約20万円) 天真・巻真等の別作に使用する機械 3種の神器をご覧になりたい方は、 「修理設備」をクリックして下さい。 その他には当然、ピンセット(10種類ほど。1本約5千円)・ドライバー(8種類ほど)・油差し・タガネ(天真入れ替え等に使用。約11万円)・時計用側開閉器(約10万円)・天府振れ見器(天輪の上下の振れを修正するときに使用)・天府片重り見器(重力誤差を受けないように天府の重さのバランスを見る)・防水試験器(約10万円)・電気万能テスター・時計油・時計用ルーペ・剣抜き器(針をはずすときに使用) 以上、当店の修理設備を見ただけでも、主に上記の設備工具が必要です。 これから若い人が時計修理を会得して、開業にこぎつけるには大変な費用がかかり、 それに見合った仕事が来るかどうか不安な要素です。 国産手巻き機械腕時計をオーバーホールする時間は、3時間ほどかかります。 国産自動巻カレンダー付き腕時計をオーバーホールする時間は、4時間ほどかかります。 水晶発振腕時計をオーバーホールする時間は、2時間ほどかかります。 ロレックス等の精密機械腕時計をオーバーホールする時間は、連続で6時間ほどかかります。 部品数も100以上を上回る複雑時計になると、精神集中して仕事をしなければならず、 かなり疲労を覚えるものです。 修理料金は、お客様によって高く思われたり、安く思われたりしますが、 職人としては今の料金はほぼ適切な価格だと思っております。 雑談ですが、先日当家の雨どいがはずれて水漏れする為、2〜3の業者に修理値段を問い合わせたところ、どの業者も最低3万円はかかると言われました。 あまりにも値段が高かったので知人の工務店に頼んだところ、時間にして5分くらいで簡単になおしてもらいました。 確かに水回り関係の料金は高いと聞いていましたが、ビックリしました。 それと比較して、時計修理料金は時間・労力等などから決して高くはないと思います。 ●時計の小話 第9話(時計職人列伝)●ワールドフォトプレス刊行の世界の腕時計に「マイスターと呼ばれる男達」という読み物が十数回にわたり連載されました。評価のわかれる点もあるかもしれませんが、その連載に登場した人以上の素晴らしい職人が たくさんおられる事をここで紹介したいと思います。 私などが足下にも及ばない、偉大な時計職人が一杯います。 井上信夫先生・角野常三先生・近江時計学校の行方先生・飯田弘先生・飯田茂先生(時計旋盤 の名人と言われた人。日本時計師会元会長)・菅波錦平先生(村木時計発行の時計技術という月刊誌のメインライターで、本当に熱心な先生でした)・小野茂先生(時計理論研究家)・ 小原精三先生・多田稔先生・加藤日出男先生等の歴々とした方がおられます。 その人達は日本の時計修理技術を向上させるために骨身を惜しまず、自分の取得している 技術を伝承させ、活躍された偉大な先生達です。 昭和40年代初頭から始まった国家検定時計修理技能士試験を広め、多くの受験生の講習を無料で引き受けて、技術レベルを上げた多大な功績のあった人は、上記のCMWの先生達なのです。 私の父も長年の経験と勘で仕事をしていたのですが(当時店には1冊の修理技術の本も無かっ たのです)行方先生の講習を受け、1級時計修理技能士を合格後、理論の大切さを知ったのです。 その当時は、時計は大体時間が合えばいい、動けばいい、というレベルの技術を持った職人が ほとんどでした。 父もその中の一人でした。 外国では、イエンドフリッキ氏・ドナルドカルレ氏・ヘンリーフリード氏等がおられ、時計技術に関する著作を出版されておられます。 私は既に絶版となった時計修理技術に関する本を多数持っています。 将来、弟子を持った時に、その本を見せていこうと思っております。 ●時計の小話 第10話(セイコー創業・服部家について)●セイコー腕時計を仕入れる場合、現在の時計店のほとんどは、セイコーの支社であるセイコーウォッチ販売会社より仕入れます。しかし過去には卸商会社があり、そこから仕入れる場合と、セイコーから直接仕入れる場合 の2通りがありました(関西では栄光時計・太陽興業等の卸商がありました)。 私の父の時代には、セイコーから直接仕入れ出来ることに、父は非常に喜びと満足を持っていました(年間に相当数の時計を仕入れないと、メーカーと直接取引は出来なかった のです)。 セイコーの営業セールスマンが来ると、奥の座敷に招き入れ、昼食をごちそうするほどの待遇を父はしておりました。 それほどまでに服部セイコーに対して、父は思い入れが あったのではないかと思います。 今では夢のような話なのですが、3月の入進学シーズンになると、1ヶ月間で500本腕時計を仕入れて販売する店が、優秀ディーラー店・1ヶ月間で300本販売する店が、 優良ディーラー店、としてセイコーから表彰されたのです(現在3月にセイコーを1店舗で 500本売る店はどれだけあるのでしょうか・・・)。 父はそれを大事に飾っていたものです。 セイコー創業者は服部金太郎氏・2代目社長はその長男の服部玄三氏・3代目社長は玄三氏の弟の服部正次氏です。 3代目の社長がセイコーを世界のセイコーに躍進させた功労者なのです。 正次氏亡き後に跡を継いだのは、玄三氏の長男:服部謙太郎氏です(それまでは慶応大学の教授をしておられました)。 謙太郎氏が社長就任してわずかな期間で夭折された後、5代目社長になられたのが 弟の礼次郎氏です(現在の会長)。 セイコー舎は以前、親会社の服部時計店・諏訪セイコー・精工舎・第2精工舎の4つのグループで構成されていました。 諏訪セイコー舎は現在セイコーエプソンと改名し、パソコン周辺機器の製造会社として大発展しているのはみなさんご存じだと思います。 腕時計製造会社から今の業態へ変化を遂げさせたのは、正次氏の長男:一郎氏の功績です。 親会社セイコーが年商3000億円なのに対し、セイコーエプソンは売上高4倍近い1兆円 を越す大企業に発展しております(来年東証1部上場予定)。 それほどまでに飛躍的に発展した会社の舵取りをした一郎氏は、残念にも若くして亡くなられてしまいました。 しかしセイコー舎には優秀な経営者が矢継ぎ早に輩出されているからこそ、今のセイコーが存在するのではないでしょうか。 私は20代の頃、メーカーの招待で諏訪セイコー・精工舎の社内見学をした事があります。 今の半導体メーカーの従業員の様な服装をして、工場内を歩き回りました。 30年前ですら、セイコーは湿気・ゴミ・埃などに細心の注意をはらっていたのです。 私も父と同じように、セイコー舎の腕時計が好きです。 なぜなら、最近よく思うのですが、セイコーの機械時計の設計が修理しやすく、部品数が極めて少なく、効率よくおさめられているからです。 ロレックスは確かに高精度を発揮できる設計がされていますが、ムーブメントの簡潔さにおいては、はるかにセイコーの方が数段優っていると思います。 セイコーロードマチック(現在では生産されていません)等は、私の思う所では 最高の自動巻カレンダー付き腕時計のムーブメントだったと確信しております。 セイコー舎が今後、水晶腕時計だけではなく、素晴らしい機械式腕時計を開発設計し、発売されることを願ってやみません。 ●時計の小話 第11話(時計油について)●時々店に持ち込まれる修理で、1ヶ月巻掛け時計のオーバーホールの依頼があります。機械を取り出してみると、素人療法でミシン油がベットリ付いている場合があります。 そんな時は、その油を落とすためにベンジンで2回洗いする手間が必要です。 時計油と他の機械油とは、性質・性能が全く違うので、素人療法は禁物です。 当店では、下記の時計油を使っています。 1.天府受け石用油…メービスA 2.アンクル爪石用油…ルージン1号 3.ムーブ輪列車用油…ルージン3号 4.キチ車・ツツミ車等の油溜装置の無いところ用油…ルージン5号 5.ゼンマイ用油…セイコー(S−4) 主に5種類の油を使い分けて、オーバーホールします。 ロレックスの場合、2番車軸受け穴石・ローター接続部分等には専用のMR3油を使います。 ほとんど現在、油差しという工具を使い、微量の油を穴石に注入していますが、 父の時代では油筆で油を差していました。 その為、適切な量の油が差せませんでした。 油差しの中で極めて難しい作業が、アンクル爪石に差す場合です。 多ければガンギ車の方にこぼれてしまい、少なければガンギ車が摩耗してしまう為、 細心の注意を払って作業します。 アンクル爪石油には2種類あり、5振動用・10振動用のハイビート用を使い分ける必要があります。 ●時計の小話 第12話(スイス舶来腕時計について)●30年ほど前、長浜市の父の時計店に置いていたスイス製腕時計と言えば、 懐かしがる人もおいでるかもしれませんが、エニカ・シーマ・ジュベニアが低価格で人気がありました。しばらくすると、酒田時計貿易がラドーを輸入し、販売し出しました。 販売戦略が非常に良かったため、消費者に受け、かなり売れました。 それからもう一方の平和堂貿易がウォルサム・テクノスを、日本シーベルがオメガ・チソット(今ではティソと呼ばれています)を、服部セイコーはロンジンの輸入代理店になり、日本で売り出しました。 ロレックスはリーベルマン商会が扱っておりました。 ゼニス(以前はゼニットとよんでいました)は東邦時計が代理店で、ユニバーサルは村木時計が扱っておりました。 昔は今のように多種多様のブランドの腕時計が日本にはあまり入って来ていなかったのです。 現在のスイスでは、メーカーの統廃合の再編が行われつつあります。 大きく分けて4つの資本グループと単独のマニュファクチャーのメーカー(約5社)です。 『グループ1』 LVMHグループ(ルイヴィトン・ヘネシーグループ)…タグホイヤー・エベル・ゼニス・ショーメ 『グループ2』 スウォッチグループ(スイス時計マイクロエレクトロニック総連合)…オメガ・ロンジン・ブレゲ・ラドー・プランパン・ティッソ・ハミルトン・サーチナ・レマニア社(複雑時計のムーブメント供給会社でトゥールビヨン・ミニッツリピーターの製造をしている) 『グループ3』 マンネスマングループ(LMH連合)…ジャガールクルト・IWC・ランゲ&ゾーネ 『グループ4』 ヴァンドームグループ(各メーカーが連携していて、資本関係はあまりないグループ)…カルティエ・ピアジェ・ボームメルシエ・ダンヒル・バセロンコンスタンチン・パネライ 『単独マニュファクチャーメーカー』 ロレックス・パティックフィリップ・ユリスナルダン・ジラールペルゴー・ブライトリング等 大手資本が金の力にものをいわせて伝統ある時計メーカーを買収し、その翼下に収めることは、それぞれの時計メーカーが長年にわたって培ってきた個性・哲学・ 文化・独自性を喪失するのではないかと、私は懸念しております。 日本ではセイコーがアニエスb・クレージュ、シチズンがイヴサンローラン・ ミラーション・ランセル等をライセンス生産しています。 デザインでブランド腕時計を買うよりも、同価格のメーカー品を買えば、かなり良い機械の入った腕時計が買えます。 それは、消費者のお好み次第です。 ●時計の小話 第13話(複雑時計腕時計について)●複雑腕時計とは、下記の機能を1つでも備えた時計のことを言います。1.トゥールビヨン…約800万円以上(姿勢差による重力誤差を少なくする為のシステムを導入した脱進機機能を持つムーブ) 2.ミニッツリピーター…約1000万円以上(音で時刻を知らせる装置を内蔵した時計) 3.永久カレンダー…約300万円以上(カレンダーを自動的に進行させる機能を持ったムーブ) 4.スプリットセコンド・クロノグラフ…約100万円以上(センターセコンド針を複数にして、ラップタイム計測が可能なムーブ) グランドコンプリケーションウォッチは、上記の複雑機能を兼ねた時計を言います。 ダイヤ等を使用した宝飾腕時計を除いて、世界で1番高額なグランドコンプリケーション ウォッチは、多分オーデマピゲ(REF25923PT)のトゥールビヨン、ミニッツ リピーター、スプリットセコンド・クロノグラフを内蔵した時計だと思います。 なんと、定価は4500万円もします。 以前私は、ユーロパッション(株)の営業マンを通じてミニッツリピーターを内蔵したムーブメントを見せてもらい、音色を聞きました。 その時の感動は今でも忘れられません。 ユーロパッションの営業マンの話によると、静岡県に資産家の時計愛好家がおり、1年に1度、1000万円クラスの腕時計を1個購入してもらっているとの事でした。 高級外車が買える価格なのに、そういう時計が売れるのには仰天しました。 時計師として、1度はグランドコンプリケーションウォッチの修理をやってみたいと思っていますが、おそらくあの複雑さを見れば、組立調整に1ヶ月以上はかかるのではないかと思います。 ●時計の小話 第14話(国産メーカーについて)●◇シチズン国産時計メーカーのもう一方の雄シチズン時計についてお話ししたいと思います。 シチズンの前身は尚工舎と言い、山崎亀吉氏が大正7年に創立され、大正13年に懐中時計を発売しました。 しかし舶来時計を輸入していたシュミット商会に勤めていた中島与三郎氏と鈴木良一氏が、 事情により尚工舎を買収し、シチズン時計を1930年に設立したのです。 シチズンという名称は、時の東京市長の後藤新平氏が、市民に愛されるようにという願いを込めてシチズン(市民)と名付けたのです。 シチズンの3代目社長:山田栄一氏は鈴木良一氏の弟で、4代目社長:山崎六哉氏は 山崎亀吉氏のご子息で、5代目社長:中島迪男(みちお)氏は中島与三郎氏の孫で、最近10年間社長を務められました。 シチズン時計には、シチズン商事・シチズン電子(年商450億円)・ ミヨタ(年商400億円、長野県の御代田町に会社があります)・系列会社に日本一のクロックメーカー:リズム時計工業があります。 工場は田無市にあります。 シチズンは現在、世界のムーブメントシェアの20%を占めるまでに発展しています。 年商は3500億円で、財務的には優良でほとんど無借金経営です。 株価も最近ではセイコーよりも高値をつけてます。 セイコーとシチズンはトヨタと日産の比較に揶揄されますが、 今ではシチズンはセイコーと同等の力を蓄えております。 シチズンの社風は新進気鋭で、たえずチャレンジ精神を発揮して、「電子時計のシチズン」 と言われるほど、30年ほど前から電池で動く時計を開発し発売していました。 ハイブリッドウォッチ・アナデジは、大変ヒットしました。 クォーツ分野ではセイコーの後塵をはいしましたが、音叉時計の分野では日本でただ1社、製造発売にこぎつけました。 セイコーとシチズンの2大メーカーは、異論もあるかもしれませんが、 スイスの全メーカーの生産力・新製品開発力・技術力等、全てに優っているものと私は 思っております。 ●時計の小話 第15話(公式検定・クロノメーターについて)●高精度の機械式腕時計はクロノメーターの認定を受けております。例えばロレックスでは、クロノメーター規格に合格した腕時計には赤いタッグを付けて販売しています。 クロノメーターの認定を受けるには、6つの試験を通らなければ合格しません。 1.5姿勢の平均日差…−3〜+12秒 日差とは1日を経過した時の進み遅れをいいます。 時計は微妙なもので、同じ条件・状態でも誤差は多少違います。 10日間の日差をプラスして10で割ったものが平均日差です。 2.平均日較差…6秒 日較差とは、ある日測定した日差と、翌日同一姿勢で測定した日差との差です。 その10日間の平均を出したのが、平均日較差です。 3.最大日較差…10秒 10日間の日較差の最大の数値をいいます。 4.最大姿勢偏差…22秒 時計をある姿勢に置いた場合の日差と、他の姿勢に置いた場合の日差との差を姿勢差といい、最大の誤差が出た姿勢差を最大姿勢差といいます。 腕時計では5姿勢が重要視されます。 文字板上・文字板下・リューズ下・リューズ左・リューズ上です。 例えば、文字板上でプラス5秒、文字板下でプラス2秒、リューズ下でマイナス5秒、リューズ左でマイナス8秒、リューズ上でマイナス1秒としますと、最大姿勢差は13秒になります(+5+8)。 5.温度係数…±1秒 温度1度の違いに対して、1日何秒誤差が出るか、の数値です。 6.復元差…±10秒 期間を隔てて、同一条件・状態で測定した平均日差との差をいいます。 クロノメーターを認定する機関は、ニューシャテル天文台・ブザンソン・ジュネーブ天文台・ 英国テデイントンNPL・ドイツ水理学協会・ミラノ天文台等が有名です。 試験の数値は、絶えず変化しております。 ●時計の小話 第16話(国産メーカーについて)●◇リコー時計今回はリコー時計(現在名:リコーエレメックス)についてお話しします。 リコーは『技術のリコー』と言われたほど、後発メーカーにも関わらず先進的な腕時計を 発売していました。 セイコーよりもクォーツ腕時計の発売は2年遅れましたが、シチズンよりも1年半早く 商品化し、1971年末に販売しました。 セイコーは45万と高額な価格でしたが、リコーが開発したリクォーツは8万8千円 (文字板に虎目石を使用)と手に届く価格に設定して販売したことは、当時としては驚異的な価格でした(リクォーツ550はCMW2次試験の教材にもなりました)。 その点、クォーツの普及に多大な貢献があったと思います。 発光ダイオード式リクォーツLED腕時計は他社に先駆けて開発し、発売しました。 機械時計ではデイデイトのリコーワイドという自動巻を発売しておりました。 しかし話題性はありましたが、あまり売れなかった記憶があります。 現在のリコー時計は会社名が変更したように、OA機器・計量機器のメーカーとして 業態が大きく変化し、800億円の売り上げのうち時計の売り上げが5%にまで縮小 しています。 リコーブランドの時計は時計店ではほとんど見られなくなり、OEM(相手先ブランド)供給のメーカーとして残っているのが実状だと思います。 一時計店主の希望として、高度の技術力を持ったリコーエレメックスが、今後素晴らしい魅力のある時計を開発し発売してくれることを願っています。 ●時計の小話 第17話(クロックメーカーについて)●日本のクロック(業界では掛け時計・置き時計等(クロック)は大物、腕時計は小物と 言います)メーカーはセイコーとリズム時計工業(シチズンブランドで発売されています)の2社がシェアのほとんどを占めています。以前、デジタル置き時計の分野にはタムラ電気・コパル(現在名:日本電産コパル)・ 三協精機・光星舎等がありました。 東京時計・東洋時計・明治時計(高精度のウエストミンスターチャイムの置き時計を製造)は現在はありません。 柱時計を作っていたタカノは、リコー時計に吸収合併されました。 愛知時計電機はアイクロンというユニークな掛け時計やウエストミンスターチャイムの 置き時計を発売していましたが、今では業態が大きく変容し、水道・ガスメーターとして 年商350億の会社に発展しています。 今ではアイチの置き時計・掛け時計はほとんど見られなくなって寂しい気がします。 ジェコーは音叉式の置き時計・掛け時計を開発し、精度が良かったのでたくさん売れましたが 今ではトヨタ自動車の系列会社になり、自動車時計を作っています。 あなたが乗っておられるトヨタの車の時計は、ほとんどジェコー製です。 クロックメーカーは浮沈が激しく、存続していくのが厳しいのです。 クロック需要の60%以上は贈答品で、我が家におくために自分で購入されるお客様は少ないと感じます。 30年ほど前は年末にもなると掛け時計が毎日、日に10個以上売れたものです。 新しい掛け時計を柱に掛けて、新年を迎える風習あったのですが、 それが今ではすたれてしまいました。 ●時計の小話 第18話(国産メーカーについて)●◇オリエント時計オリエント時計は、今の若い人にはなじみのないメーカーかもしれませんが、 中高年の人には懐かしい響きを持ったメーカーだと思います。 古い歴史を持ったオリエントは創業は明治時代にまでさかのぼります。 明治30年に吉田時計店から出発し、大正時代に東洋時計製作所になり、昭和時代に東洋時計の日野工場ができ、その工場が昭和26年にオリエント時計(株)として、 社名を変更したのです。 手巻き腕時計は基本的に17石、自動巻腕時計は24石の穴石・受石があります。 しかし、消費者がルビー石が多く内蔵されているムーブメントほど高級腕時計だと感じている頃、オリエントは約50石入り腕時計・約100石入り腕時計を発売して、一時話題になりました。 その時、父も仕入れて、私もその時計の機械の中身を見たのですが、とてもビックリしました。 なぜなら、穴石・受石として使うルビー石が、機械とは全く関係のない装飾用としてムーブの側止め用リングに埋め込まれていたからです。 しかしとても美しかった記憶があります。 多種ブランドの戦略をとっているオリエントは、若い人には有名なマリー・クレール、ミチコロンドン、ダックス、ランチェッティ・ジョルジュレッシュ、ポログラフ等をライセンス生産しています。 当店でもマリー・クレールは販売しておりますが、とても良心的な良い機械のクォーツが内蔵しています。 現在のオリエントは年商300億円で、セイコーエプソンと親密な関係にあり、個性的な機械時計を発売しています。 そして新開発のムーブメントを採用した『オリエントスター』ロイヤルシリーズを発売し、人気を博しております。 ●時計の小話 第19話(アンティーク腕時計について)●ここ数年来、若い人を中心として機械時計のアンティーク腕時計がとても人気があります。当店ではアンティークショップで購入されたお客様が、当店へ修理の依頼のために持ち込みされるのが増えてきております。 修理をして感じることは、かなり年代物であってもムーブの状態が非常によい時計がある反面、ケース・文字板がキレイでも、中の機械を未熟な修理屋がいじったため、みじめに壊されている時計にもよく会います。 最近、あまりにもひどかったアンティーク腕時計の修理がありました。 大学生がアンティークショップでオメガ・スピードマスターを9万円で購入したものの、全く正常に作動しないと言うのです。 中を見てみると、人間で言うと心臓の部分の『天府』のヒゲゼンマイが壊れていたり、ネジ頭が合致したドライバーでいじっていないために無くなっていたり、ひどくキズが付いていたりしていました。 消費者の人は中の機械のことはよくわからないと思います。 アンティークショップの店員さんも、知識はあっても、中の機械の状態をハッキリ把握できる人は少ないと思います。 アンティーク腕時計の顔(ケース・文字板・年代)ばかり注目しないで、1番大切な中の機械も注意する必要があると思います。 アンティークショップも、ムーブメントの状態をランク付けする必要があるのでは ないでしょうか? ABCDEの5ランクぐらいに分けるべきだと思います。 それをすれば売れないと言われるかもしれませんが、将来的には消費者の人から良心的な業界だと認められると思います。 家を建てるのも、建築士に依頼して設計図通りなっているか確認するのが普通です。 アンティーク腕時計で高額な品を買われる人は、顔ばかり見るのではなく、中の機械は最低でも時計修理技能士(理想的にはCMW)に見てもらって購入されるのが賢明だと思います。 ●時計の小話 第20話(国家検定時計技術の資格試験について)●時計修理の技術試験は大きく分けて2通りあります。国家技能検定の時計修理技能士試験と日本時計師会のCMW公認高級時計師試験です。 時計修理技能士試験は1級・2級・3級とわかれています。 3級時計修理技能士は実務経験1年以上で、試験内容は腕時計の電池交換・ 裏蓋のパッキング取り替え・バンドブレスのコマはずし等の簡単な作業が出来るかを問う試験です。 2級時計修理技能士は実務経験3年以上で、試験内容は腕時計の分解掃除・天真入れ替え作業等が出来るかを問う試験です。 与えられた日差以内に精度を修める技能を求めるものです。 学科試験が1日・技術試験が1日の、延べ2日間あります(実技試験内容は 年次によって多少変わります) 。 1級時計修理技能士は実務経験12年以上で、試験内容は機械腕時計の分解掃除・ 天真入れ替え・注油等が正確に出来るかを問う試験です。 与えられた日差以内に精度を修める技能を求めるものです。 そして、巻真のツツミ車部分のやすり作業が求められた寸法に正確に削れるかを問うものです。 学科試験が1日・技術試験が1日の、延べ2日間 あります(実技試験内容は年次によって多少変わります) 。 国家技能検定の時計修理技能士試験は昭和41年より始まり、初年度は全国で約7千人が1級を、約4千人が2級を受け、初年度だけでも1・2級合わせて約5千人前後の人が合格 しています。 次年度では全国で1・2級合わせて約6千人の人が受験し、約3千人前後の人が合格しています。 年を追うごとに受験者数は減ってきておりますが、1・2級時計修理技能士は全国的には軽く10000人を越すでしょう。 |
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